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新、裏日記
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忘れられない患者さんは、色んなエピソードを踏まえ、数知れず居る。

大きく分けると、生きることの意味と死ぬことの意味、か?



後者に、すごく心に残る人が居る。



     ・      ・      ・




彼は、肺癌だった。
末期がんで、手術が受けられない状態だった。
当時は医療のインフォームドコンセプトが
発達しておらず、うちの病院はがんセンターではなかったから
始めに本人に告知することはまずあり得なかった。

始めに家族→家族の意思を聞く→本人に告知か否告知かを決める

というのが主流だった時代。
しかしその患者さんには家族はなく、親戚も探せず、
結局彼自身に告知された。

彼の選んだ道は、「なるがまま。延命治療は求めない」。


実は彼には離婚経験があった。唯一、元家族が頼りだったから
公共機関のツテで元家族を探し出すことができた。
しかし、元妻と彼の子供が病院側に伝えてきた返事は
「どうにでもしてくれ。うちは関係ない」だった。

彼は若い頃、さんざん女遊びをして、家族を省みなかった人間らしい。
そんなに憎悪を持たれる理由は、これだけだろうか。
一体どんな悪いことをしたんだろう。



私が夜勤のとき、彼の死に当たった。

心電図が明らかに0に向かっていく時、家族に対する(家族に証明する)
死亡確認のため、その部屋に心電図を持っていく。
でも、家族が居ない彼の場合はそれがない。
また同じ理由で、医者の死亡確認も必要なかったから、当直の医者には
「心臓止まったら呼んで」と言われていた。


誰も居ない中で死に行く人。
愛する人も、友達も、親戚も、誰もいない寂しい死。
死んだところで、誰も知らない悲しまない。

薄暗い個室で、ベッドをリクライニングさせたままの最期だった。

率直に、「あんな死に方したくない!!」と思った私がいる。



苦しんで亡くなったわけではない。それが彼に対するひとつの、救いだった
のかもしれない。




どうして、あれがこんなに衝撃的に私の記憶に残ってるのか。
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HN:
真弓
性別:
女性
職業:
そのまんま(笑)
そのた:

※裏日記として公開していたものです。
ガブリ日記が閉鎖されるので、新たに
ブログを作り直しました。
ちなみに手作りなので、バグがあっても
知りません(爆

TOPの写真は、浦安の某ホテルから
撮ったものです。右に東京タワーが
見えます。


自己紹介:

絶対向いてない・・・(涙) と思いつつ、
いつの間にか十数年やっていた
「看護師オーラのない」女のひとりごと。
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